
こんにちは、ラベンダーです。
ラベンダー皇室ブログ。
今後は、公開記事で、皇室ネタをやることは少なくなり、皇室ネタはサロンへ移行します。
公開記事では、皇室ネタ以外で興味あることを思いついたときにテキトーに書く。
そういう感じになっていきます。
よろしくお願いいたします。
今回は、たまたまツイッターでつぶやいてしまったので、
ツイッターで予告した「相続土地国庫帰属制度」についてでやります。
相続土地国庫帰属制度の趣旨
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下、国庫帰属法と略す)
により令和5年4月27日からスタートした「相続土地国庫帰属制度」
法務省の言葉をそのまま借りて、制度の趣旨を申し上げるとこういうことです
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」
といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。
このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
法務省HPより(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html)
田舎の田畑・荒れ地・山林など、相続しても負担になるだけで、相続しなくない土地があった場合。
従来なら、それでも誰かが強制的に相続させられてました。
使う予定もないし、買ってくれる人が誰もいない田舎の土地。
固定資産税を払う義務や管理する義務とかの負担だけがある土地。
そんな、いらない不要な土地であっても、
- 不動産の所有権放棄は認められていない
- 土地を市町村に寄付しようとしても受け取ってもらえない
ということで、
いらない不要な土地であっても、相続人が強制的に所有させられるという状況。
使う可能性はない。売れる可能性もない、不動産。
しかし、固定資産税や管理などの負担を負わされる。
いらない不要な土地
相続させられる側からすれば、バカバカしいですよね。
相続が罰ゲームになってしまってます。
なので、
相続が発生しても、土地の名義変更しないで、そのまま放置される。
(名義変更しても、負担になるだけで良いことありませんからね)
という現象がどんどん起こっています。
で、そのうち、相続人の住所とかがわからなくなって、
所有者不明土地
になってしまう。
そういう状況があるわけですよ。
今や、日本全国の22%。
九州の面積より広い土地が、所有者不明土地だといわれてます。
で、そういう状況を改善しようと、
今回の「相続土地国庫帰属制度」ができました。
つまり、
一定の条件を満たせば、相続したいらない不要な土地を国が引き取ってくれるという制度です。
ちなみに、施行日は令和5年4月27日ですが、
この制度で他人の権利を害する恐れはないので、
法の不遡及の原則の適用はなく、施行日以前の相続不動産も制度利用が可能です。
いらない不要な土地を国がどんどん引き取ってくれれば、
相続で強制的にいらない不要な土地を押し付けられる不条理もなくなるし、
所有者不明土地も減る。
だから、制度の趣旨は、とても良いと思いますし、
私も田舎の土地を相続する可能性があるので、ひそかに期待していたのですが
しかし・・・
相続土地国庫帰属制度の流れ
相続土地国庫帰属制度の手続きの流れは以下のとおりです。
相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。
要件に該当するかを審査します。(審査手数料を払う必要があります)
問題がなければ、土地の所有権の国庫への帰属について承認されます。
承認された申請者は、土地管理費の10年分に相当する額を国に支払う
という流れですが、
すでに、違和感を感じてる方も多いと思います。
えっ!お金払うの???
そうです。
タダで引き取ってくれるわけではなく、有料なのです。
お金を払って引き取ってもらう。
不用品回収と同じようなノリですね。
さらに、問題なのは、法務局が審査するといってますよね。
なんで、審査するかというと、
すべての土地を引き取ってくれるわけじゃないからですよ。
一定の土地は引き取ってくれません。
条件があるわけです。
相続土地国庫帰属制度が使えない土地
まず、引き取ってくる土地の条件。
簡単に言えば、
管理が面倒な土地は引き取りません
ということですよ。
管理が面倒だから、売れないから、引き取ってほしいのに、
そういう面倒な土地に限って引き取りを拒否されるということです。
具体的には、こういう土地
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(国庫帰属法2条3項)
(A 建物がある土地)
古家や倉庫などが土地上に残っている場合は、それを撤去して更地にしないといけません。
そもそも、そういう費用をかけたくないから土地を引き取ってほしいのに、お金かけて更地にしないと引き取ってくれないということです。
相手に有料で引き取ってもらうものに、こちらが費用負担して事前にきれいにするということ。
やる気なくしますよね。
(B 担保権や使用収益権が設定されている土地)
よくわからない古い抵当権とか他人の権利が付着してる土地は、引き取ってもらえません。
弁護士や司法書士に高い金払って、抵当権を抹消しないと引き取ってくれないということです。
(C 他人の利用が予定されている土地)
隣地の通行地役権があったり、空中に電線が通っていたりすると、
その他人の権利をどうにかしないと、引き取ってもらえません。
(D 土壌汚染されている土地)
土壌汚染されている土地は、費用かけて土壌汚染をなんとかしないと引き取ってもらえません。
(E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地)
田舎の山林などは、境界が明らかでないことが多いと思いますが、それも引き取ってもらえません。
そんな田舎の山林。
境界を明らかにしようと土地家屋調査士に依頼すると、スゴイ金額請求されますよ。
早くも、やる気なくなってきましたよね(笑)
でもね。
これだけではなく、まだまだ問題があります。
書いてて、疲れてきましたよ(苦笑)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
(国庫帰属法5条1項)
もう、いちいち解説しませんが、
要するに
面倒な土地は引き取らない
ということです。
でも、変な話ですよね。
面倒でなくて、クリアな土地であれば、そもそも「相続土地国庫帰属制度」など使わなくても、普通に売却すればいいだけのこと。
面倒な土地だから処分(売却)できない。
そういう土地だからこそ、引き取ってほしいのに、そういう土地は引き取らないというのですから、いったい何のための制度かということですよ。
たとえれば、
壊れた自動車は、修理して問題なくなったら、有料で引き取るといってるようなもの。
バカじゃない、って感じですよね。
壊れた自動車だから、ゴミのように引き取ってほしいのであって、
壊れてない問題ない車なら、有料で引き取ってもらわなくても、中古車販売業者へ売りますって。
お金もらえますからね。
バカな話ですよ。
で、しかも、
費用を払う必要がありますが、これがヒドイ。
相続土地国庫帰属制度の費用
まずは、法務局へ審査請求する際に手数料を払います。
土地1筆あたり14000円
田舎の細々とした土地が10筆あったとすれば、14万円も審査手数料がかかります。
それだけも、結構な金額ですよね。
さらに、
審査に合格して、国庫帰属が認められた場合。
負担金
というものを払う必要があります。
これは、土地の地目や面積によって異なりますが
1筆あたり最低20万円
です。あくまで最低金額。
面積によって、30万円とか40万円とかになったりします。
しかも、1筆の金額ですから、
田舎の細々とした土地が10筆あった場合は200万円も払わないと引き取ってもらえません。
タダであげるのに、相手に200万円払うって・・・
誰がそんな制度利用しますか?
なんというか、唖然としましたね。


ということで
相続土地国庫帰属制度
使えないです。
最近、政治の劣化が激しいですが、こういう制度もそうですね。
ユーザー(国民)の立場で考えていない。
ユーザー(国民)が困っているのは、相続によっていらない不要な土地を相続させられるということ。
売却できない困った土地を無理やり相続させられること。
それをなんとかして欲しいのに、出てきた回答(法律)がコレ。
こんな使えないアホな法律作って喜んでいるということは、
国民のことなど、ちっとも考えていない証拠ですよ。
最近、そういう法律だらけですよ。
自分たちの都合・利権集団の都合・税金寄生虫の都合でしか物事を考えていないから、こういう法律ができるということですよ。
そういう意味では、日本国劣化の象徴。
そういう法律とも言えますね。
あーあ
(結論)相続土地国庫帰属制度は使えない
ではまた
大変勉強になりました。いったい何のための法律なんでしょうね。
こうなったら相続発生後3か月以内にさっさと相続放棄するしかないのでしょうね。
昔は良かったちゃんさん こんにちは
いらない土地だけが相続財産であれば、相続放棄すれば済む話です。
放棄により相続人がすべていなくなれば、自動的に国庫へ帰属します。
しかし、相続財産が
「預貯金」+「必要な不動産」+「いらない不動産」
の場合
一部を相続して、一部を放棄するのは、認められてません。
全部を相続するか、放棄するしかないので、
この場合だと、「いらない不動産」を相続したくないなら、「預貯金」や「必要な不動産」も放棄するしかなくなってしまいます。
だから、
なかなか相続放棄だけでは、この問題は対応できない。
そこで、この法律に期待したのですが、見事にハズレでしたね。
またよろしくお願いいたします。
ラベンダー様 こんばんは
丁寧な解説ありがとうございます。
実は、私も、身内に関係することで、この法律には興味をもっていました。
法律の分野にはド素人なのですが、ざっと読んだところ、「何これ?こんな制度、誰が使うの?」と思ったのですが、やはり、そうなのですね…
マイナ保険証にしてもそうですが、もう少し国民目線で考えて仕事してもらいたいものです。
それにしても、ラベンダー様の博識にはおそれいります。
またよろしくお願いいたします。