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令和7年全国戦没者追悼式

終戦から80年。

令和7年8月15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれました。

天皇、皇后両陛下や石破茂首相、遺族ら約4500人が参列。

先の大戦により犠牲となった約310万人を悼み、平和への誓いを新たにした。

厚生労働省によると、参列予定の遺族は3432人。初めて戦後生まれが半数を超え、53.2%を占めた。

最高齢は98歳で、最年少はやしゃご世代の3歳。

戦没者の親の参列は15年連続でなく、コロナ禍による縮小開催期間を除くと初めて配偶者も不在となった。

正午に1分間の黙とうが捧げられた後、天皇陛下がお言葉を述べられた。

目次

天皇陛下のお言葉

天皇陛下のお言葉全文

 本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦においてかけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。

 終戦以来80年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。

 戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います。

 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

内閣総理大臣式辞

石破総理式辞全文

天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。

先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。

祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場に斃(たお)れた方々。広島と長崎での原爆投下、各都市への空襲並びに艦砲射撃、沖縄での地上戦などにより犠牲となられた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。今、すべての御霊の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。

今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。

未だ帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、決して忘れません。一日も早くふるさとにお迎えできるよう、全力を尽くします。

先の大戦から80年が経ちました。今では戦争を知らない世代が大多数となりました。戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばなりません。

同時にこの80年間、我が国は一貫して、平和国家として歩み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてまいりました。

歳月がいかに流れても、悲痛な戦争の記憶と不戦に対する決然たる誓いを世代を超えて継承し、恒久平和への行動を貫いてまいります。

未だ争いが絶えない世界にあって、分断を排して寛容を鼓し、今を生きる世代、これからの世代のために、より良い未来を切り拓きます。

結びに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様にはご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。

遺族代表の追悼の辞

全国戦没者追悼式では、戦没者の遺族を代表して、父を亡くした埼玉県川越市の江田肇さんが追悼の辞を述べた。全文は以下の通り。

追悼の辞全文

本日ここに、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、各界代表をはじめ全国各地から遺族の代表が集い、全国戦没者追悼式が厳粛に執り行われるに当たり、戦没者遺族を代表し、謹んで追悼の言葉を申し上げます。

 先の大戦が終わりを告げてから80年目を迎えました。我が国は、この歳月において、塗炭の苦しみの中から、国民の懸命な努力によって、今では世界有数の民主主義国家となり、平和と自由を享受しております。

 しかし、この陰には国を思い、最愛の家族の幸せを願い、故郷の友や山河を懐かしみながら散華なされた多くの戦没者がいることを、私たちは決して忘れることはありません。

 私の父は、母が23歳、私が2歳、妹はまだ母のおなかの中のとき、31歳で亡くなりました。朝鮮で終戦を迎えましたが、帰国を急ぐあまり飛び乗った引き揚げ船でしたが、途中、朝鮮海峡において機雷に接触、沈没したとのことであります。

 生きて終戦を迎え、家族と共に将来の夢や希望を抱いていた父の無念さは計り知れません。

 家族の大黒柱を失いながらも、祖父母と母は懸命に家業の農業を続け、その苦労を子どもたちに感じさせるようなことは全くありませんでしたが、思い返せば、相当な苦労があったであろうことは想像に難くなく、今では感謝の思いと、当時至らなかった自分への後悔が絶えません。

 世界に目を向けますと、今なお、侵略や民族紛争、宗教間の対立などで、多くの人々が犠牲となっていますが、戦後の厳しさを体験している我が国は、今こそ、争いのむなしさ、復興の難しさ、平和の尊さを世界へ訴えることが求められていると感じています。

 私たち遺族は、「平和の語り部事業」などを通じて、平和のありがたさ、戦いの悲惨さを後世に継承し、戦争のない平和な国に貢献する活動と、ご英霊をいつまでもお守りするため、次世代による活動の拡充を目指し努力することを改めてお誓い申し上げます。

 本日は、多くのご来賓の参列の下、かくも厳粛に追悼式を挙行していただきましたことに、遺族を代表して心から感謝を申し上げます。

 結びに、ご英霊のご冥福とご参列の皆様のご健勝とご多幸を心から祈念申し上げまして、追悼の言葉といたします。

追悼式全部の動画

天皇陛下の「おことば」で、

「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ」

の一節が加わったのは、肝に銘じるべく、重要なことだと思います。

改めて、

先の大戦で犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

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