こんにちは、ラベンダーです。
能登半島地震の発生から7か月。
被災地の現状をデータ中心に見てみたいと思います。
富山県と新潟県の被害状況
まずは、富山県と新潟県の最新被害状況です。
<死者・負傷者>
死者0、重傷者13人、軽傷者41人
なお、令和 6 年 6 月 3 日の地震による負傷者として重傷1人(富山市)、軽傷1人(滑川市)
<住家被害>
全壊255棟
半壊783棟
一部損壊20,174棟
未分類61棟
<避難所>
令和6年1月26日で全て閉鎖
<断水>
令和6年1月21日で全て解消
<死者・負傷者>
死者0、重傷者8人、軽傷者44人
<建物被害>
全壊108棟
半壊3,844棟
一部損壊17,953棟
床下浸水14棟
非住家65棟
<避難所>
令和6年3月31日で全て閉鎖
<断水>
全て解消
以後は、石川県についてです。
人的被害(石川県)
<死者>
318人
うち、災害関連死89人
<負傷者>
重傷者333人
軽傷者876人
ただし、先週と今週の審査会で認定の答申が出された人を加えると災害関連死は110人となり、死者は339人となる見通し。
さらに、150人以上の方の災害関連死が認定申請中で、さらなる増加が予想されている。
なお、発災7カ月時の熊本地震の死者は、137人(うち災害関連死82名)。
災害関連死の認定ペースは、ほぼ同じとなっております。
熊本地震の災害関連死、最終的には221人。
建物被害(石川県)
<住家被害>
全壊 5870棟
半壊 16027棟
一部損壊 58451棟
床上浸水6棟、床下浸水5棟
合計 8万359棟
<非住家被害>
公共建物 125棟
その他 32189棟
公共土木施設の被害(石川県)
<公共土木施設の被害>
7922億円(ただし、査定完了20%)
石川県によると、県や市町が管理する道路や河川堤防の損壊、下水管の損傷などの被害件数は5月末時点で約8300件確認された。
被害総額7922億円のうち最大は道路の4131億円。下水道1429億円、河川1223億円と続く。
ただし、査定20%時点の数字なので、今後査定が進むと被害総額はさらに増大する。
最終的には、数兆円になることが予想される。
避難所(石川県)
<市町1次避難所>
避難所48か所、避難者654人
<県避難所>
1.5次避難所(スポセン)1か所、23人
2次避難所97か所、避難者705人
合計1382人
その他、損壊した自宅で避難する方や車中泊の方も少なからずいらっしゃるよう。
能登半島地震の発生から8月1日で7か月です。石川県輪島市では今も仮設住宅に入居できず、農業用ハウスで避難生活を続けている人たちがいます。
輪島市の保靖夫さん(70)は市の中心部から4キロほど離れた長井町で暮らしていましたが、元日の地震で自宅が全壊したため、野菜を栽培していたハウスに避難しました。
近くの公民館に避難することも検討しましたが、多くの人たちが集まっていたため、近所の人たちも含め30人ほどで農業用ハウスでの避難生活を続けました。
その後、仮設住宅に入ったり市外に移り住んだりした人たちもいますが、保さんたち2世帯3人は仮設住宅への入居の順番を待ちながら今もハウスにとどまっています。
暑さが厳しくなっているため、天井にシートを使って直射日光を遮ったり、扇風機を使ったりしてしのいでいて、夜は災害用に開発されたテントのような小屋で寝ています。
もうしばらくは農業用ハウスでの生活を続けることにしていますが、仮設住宅に入居できない状況が続けば避難所となっている近所の公民館に移ることも考えているということです。
以下略
2024年7月31日 NHK
能登半島地震の被災地で次の住まいの見通しが立たず、今も車中泊や避難所暮らしを余儀なくされている人たちがいる。仮設住宅に入居できず、自宅にも戻れない。支援制度の隙間にある被災者には、丁寧な個別対応が求められている。(奥田哲平)
以下略
2024年7月23日 東京新聞
仮設住宅(石川県)
<仮設住宅>
<要望>6804戸 <完成済>5498戸(7月30日現在)
要望戸数6,804戸のうち、 6,262戸を8月末までに完成予定。
残る542戸については、追加の建設要請や仕様変更などがあったため、以下の画像の完成見込みになるよう。
公費解体(石川県)
<申請>25214棟
<完了>2175棟(公費解体・緊急解体・自費解体の合計)
(公費解体の完了は、1523棟)
全体の約8.6%が解体完了(公費解体・緊急解体・自費解体の合計)
人口・人材流出問題(奥能登)
<人口流出>
奥能登4市町では、半年で人口が計3230人減少した。(令和6年7月1日時点の人口推計)
これは、元日時点の4市町の人口(5万5213人)の5.9%に当たる。
<人材流出>
奥能登地域にある四つの公立病院で60人以上の看護師が退職したり、退職の意向を示したりしている。
これは、看護師の総数約400人のうち約15%にあたる。
また、厚生労働省が2024年3月に行った調査によると、能登6市町の介護職は地震前からおよそ3割減少しています。
廃業問題(奥能登)
<廃業>
能登半島地震で被害が大きかった奥能登の石川県珠洲市、輪島市、能登町、穴水町の4市町で、6月下旬までに約130の事業者が被災後に廃業したか、廃業を予定していることが産経新聞の取材で30日、分かった。
2市の商工会議所、2町の商工会に、それぞれの会員で廃業または廃業予定の事業者数を聞いたところ、輪島市で47、珠洲市で約50、能登町で18、穴水町で15だった。
(以上、6月30日産経新聞の記事による)
(以下は、5月19日の読売新聞記事による)
(輪島市)
輪島商工会議所が会員995事業所に行っている聞き取り調査では、13日までに9割以上の調査を終え、再開は約340事業所と約3分の1にとどまった。650以上の事業所が再開しておらず、38事業所が廃業の意向だった。
また、同市商店街連合会(加盟146店)の再開は5%ほど。
(珠洲市)
珠洲商工会議所は4月に会員の533事業所に調査を行い、回答があった235事業所のうち87事業所が休業、33事業所が廃業済みだった。廃業予定も15事業所あり、会員の1割近くが廃業する計算だ。廃業した経営者の大半は70歳代以上という。会員の約3割は所在がわかっていない。
(能登町、穴水町)
能登町では、商工会会員の590事業所のうち、14日までに16事業所が廃業を届け出た。
穴水町商工会では、会員の297事業所のうち66事業所が再開しておらず、7事業所が廃業予定だという。
農業(奥能登)
<作付け>
(以下、上記7月2日日本農業新聞の記事による)
(輪島市)
2023年産の作付面積988ヘクタールの約5割となる500ヘクタール弱が作付け困難となった。農地被害や設備の故障の他、「長期避難世帯が多数おり、そもそも耕作者がいない」(市農林水産課)という。
(珠洲市)
珠洲市は前年の45%に当たる340ヘクタール減。減少分には一部、高齢化による離農も含むが、市産業振興課は「農地被害だけでも344件あり、被害額は19億円超。地震による作付け困難な面積が相当あるはずだ」と話す。
(穴水町)
穴水町は前年の4割に当たる100ヘクタール減。
(能登町)
能登町は集計中だが、前年の作付面積752ヘクタールのうち「8割で作付けできた」(農林水産課)とみている。
(志賀町)
最大震度7を観測した志賀町では、パイプラインの漏水や「地盤沈下して植えた苗が水に漬かった」(町農林水産課)事例など、作付け後の被害報告が相次いでいるという。
(内灘町)
河北潟干拓地で液状化被害の生じた内灘町では、8割以上減少。同干拓地では大規模な基盤整備が必要で、JA石川かほくによると約50ヘクタールが作付け不可能とみられる。
<畜産>
畜産関係では、県内の乳牛・肉用牛の生産者4戸が6月末までに廃業した。経営再開に時間がかかっていたり、飼養頭数を減らしたりする生産者もいて、厳しい状況は続いている。
石川県酪農業協同組合によると、県内31戸の酪農家のうち、震災前に能登半島で経営していたのは16戸。6月末時点で12戸が出荷再開し、2戸が廃業した。他に、1戸は7月中下旬の集乳再開を見込む。もう1戸は経営継続の意向があるものの見通しが立たない。県南部の15戸は出荷を続けている。
肉用牛では、繁殖・肥育経営合わせて県内34戸のうち、25戸が能登半島で経営していた。数頭程度に規模縮小した生産者を含めて、6月末時点で23戸が経営を再開。2戸は廃業した。
<参考記事>
農林水産関係被害のまとめ(石川県、新潟県、富山県)
農林水産関係の被害~農林水産省のデータによる(7月30日現在)
<石川県>
・農業用ハウス・機械・果樹棚等 1,650 件で被害、農作物 22 件で被害、畜産農家で断水 15 件、施設損壊 64 件、生産物廃棄・家畜被害 43 件、道路損傷 11 件、畜産関連施設2件で一部破損等、共同利用施設 139 件で建屋・設備の損壊等
・農地 1,688 か所、農業用施設等 5,337 か所の被害
<新潟県>
・農作物(いちご・チューリップ等)の廃棄・収穫不能、パイプハウス 17棟で被害、農作業場等 400 棟で被害、畜産用施設4件で破損・地盤沈下等、農業機械 30 台で被害、養蜂箱2件で破損、共同利用施設 49 件で一部損傷等、JA 米倉庫等 18 棟で荷崩れ・一部破袋等
・農地 148 か所、農業用施設等 651 か所の被害
<富山県>
・樹体(りんご)1本で倒伏、農業用ハウス1件で入口傾き等、農業用倉庫等 17 件で地盤沈下・床面液状化等、畜産用施設6件で斜面崩落、一部損傷等、共同利用施設 58 件で外壁亀裂等、農業機械5件で破損、食肉流通施設で地盤沈下等
・農地 407 か所、農業用施設等 2,020 か所の被害
<石川県>
・林地荒廃 91 箇所、治山施設 52 箇所、林道施設等 2,246 箇所、木材加工流通施設 36 箇所、特用林産施設等 23 箇所の被害
<新潟県>
・林地荒廃1箇所、林道施設等8箇所、木材加工流通施設2箇所、特用林産施設等 29 箇所の被害
<富山県>
・林地荒廃5箇所、林道施設等 29 箇所、木材加工流通施設6箇所、特用林産施設等9箇所の被害
<石川県>
・漁船の転覆・沈没 52 隻以上、座礁 68 隻以上、一部損壊 176 隻以上、流出 44 隻以上(18 隻が新潟県の沿岸に漂着)、カキ等の養殖施設5件の破損等、水産総合センターの配管の破損等の被害、60 漁港で防波堤、岸壁、臨港道路の損傷等(志賀町から珠洲市の外浦海域の漁港では、地盤隆起による海底露出)の被害、漁業集落排水施設 13 か所で損傷等、水産業共同利用施設(荷さばき所等)34 か所で損傷等、漁業用施設 75 か所で損傷等、6漁港海岸で流木等の漂着
<新潟県>
・漁港内で漁船 17 隻が横転、破損等、海中に設置していた刺し網等、保管中の漁網の流出、大型定置網のアンカーロープの切断、陸上水槽の稚ナマコの流出、液状化による漁協事務所の傾き等、3漁港で臨港道路の破損等の被害、水産業共同利用施設(荷さばき所等)7か所で液状化等の被害
<富山県>
・漁船の沈没3隻、破損5隻、大型定置網、小型定置網、かご縄及び刺網83 件の破損又は流出等、サクラマス、アユの陸上養殖施設3件の破損及びサケ稚魚の斃死等、海洋深層水取水施設の配管破裂等、10 漁港で岸壁、護岸の沈下、臨港道路の破損等の被害、1漁港海岸で離岸堤損傷の被害、水産業共同利用施設(給油施設等)52 か所で傾きや損傷等の被害
(1) 防災重点農業用ため池
・新潟県1か所、富山県 11 か所、石川県 280 か所、福井県1か所で堤体に損傷を確認
(2)ダム
<石川県>
・国造ダム1か所の目視点検において、堤体天端のアスファルト舗装にひび割れを確認、ブルーシートによるひび割れ部分の保護を行い、ダムの水位低下を実施中、また、同県の別の国造ダム1か所で目視点検において、堤体天端と取付道路との間に段差を確認。ダムの水位低下を実施中
・補助ダム1か所の目視点検において、堤体天端のアスファルト舗装に軽微なひび割れを確認、ブルーシートによるひび割れ箇所の保護等を実施中
(3)農村生活環境施設
農業集落排水施設の被害は、新潟県11か所、富山県 120か所、石川県 72 か所
(4)林地荒廃・治山施設
<石川県>
多数の林地荒廃や治山施設被害があり、能登半島地震山地災害緊急支援チームにより、避難所周辺等の緊要度の高い森林及び治山施設の緊急点検を実施し、次期降雨による災害の危険性の高い地区について、応急対策を行うとともに災害復旧等事業の申請を実施中
また、この他の道路等インフラ周辺の山腹崩壊地の点検を実施中
<石川県>
・七尾市公設地方卸売市場(青果・水産物)において、断水・一部の地盤陥没等。青果は1月6日から一部営業再開。水産物は施設被害が大きく、県漁協が他市場への出荷を調整していたが(1月6日時点)、2月1日より青果・水産ともに営業(せり)を再開したため、出荷調整は解消(2月1日時点)。
・金沢市中央卸売市場において、卸売場、低温貯蔵庫の天井材が一部落下(1月3日撤去済み)。仲卸売場の給水管破損による漏水及び停電(1月4日復旧済み)。1月5日に初市を開催。青果は入荷量が減ったが地震の影響なし。水産物は石川県産取扱いほぼなし(1月5日時点)定置網漁を中心に県内の漁港で朝方に水揚げされる鮮魚の「2番せり」の開催を見合わせ中(4月 16 日時点)。
・金沢市公設花き地方卸売市場において、壁剥離・業務影響なし。1月5日に初市を開催(1月6日時点)
・株式会社金沢花市場地方卸売市場において、施設内のエアコンの落下や床への亀裂があったが、業務への影響なし。1月5日に初市を開催(1月6日時点)
<新潟県>
・地方卸売市場のうち水産市場において、冷蔵庫荷崩れ(柏崎市)、冷凍庫荷崩れ(上越市)、荷捌き所の配管亀裂(佐渡市)があるものの、いずれも市場機能に影響なし(1月5日時点)
<富山県>
・とやま市漁業協同組合四方地方卸売市場において、市場周辺が一部隆起・駐車場に一部亀裂・水道管一部破裂(修復済み)・場内に段差(1月9日)。1月5日に初市開催(1月 10 日時点)
・新湊漁協地方卸売市場において、周辺の道路はアスファルトがめくれ通行に支障。断水で製氷できないことから、1月4日・5日休市、1月6日に初市を開催(1月6日時点)
・魚津漁協魚津地方卸売市場において、周辺地に液状化がみられるが駐車場は確保可能。1月4日に初市を開催(1月5日時点)
<石川県>
・醤油工場1か所(輪島市)で建物全壊、1か所(能登町)で建物一部崩壊及び工場敷地断裂、2か所(志賀町、宝達志水町)で壁崩落、3か所(七尾市2、金沢市1)で倉庫一部崩壊(1月 10 日時点)
・味噌工場の全壊3社(輪島市2、珠洲市)、一部損壊4社(輪島市、能登町、羽咋市、穴水町)、室全壊1社(七尾市)のほか、3社(能登町、七尾市、加賀市)において一部の設備に被害(1月 16 日時点)
・菓子9工場(輪島市4、穴水町1、珠洲市4)で建物全壊、17 工場(羽咋市2、宝達志水町3、志賀町4、七尾市4、中能登町2、珠洲市2)で屋根の被害、設備の損傷等(2月5日時点)
・コーヒー1社において、本社(金沢市)及び工場(白山市)で一部商品の落下、支店(七尾市)で商品落下のほか、電話回線不通、断水の影響で支店機能停止(1月 12 日時点)
・水産加工業者1社(七尾市)において、工場の天井・壁の崩落、設備の損壊等により操業停止中、1社(七尾市)において、一部加工施設の全壊、設備の損壊等(1月 29 日時点)
<新潟県>
・醤油工場9か所(上越市)で壁の亀裂発生、屋根の一部落下、設備の損壊、桶からの醤油流出、原料の荷崩れ、商品の一部廃棄等、2か所(新潟市)で設備の損壊、原料流出等(1月 10 日時点)
<富山県>
・醤油工場2か所(いずれも氷見市)で地盤の損壊、1か所(高岡市)でタンク内への異物混入による内容物の廃棄及び木樽の破損による商品の一部消失(1月 10 日時点)
以上の情報より、石川県の主な被害をまとめます。
<農業>
農地 1,688 か所の被害
農業用施設等 5,337 か所の被害
農業用ハウス・機械・果樹棚等 1,650 件
畜産農家で断水 15 件、施設損壊 64 件
生産物廃棄・家畜被害 43 件
道路損傷 11 件
共同利用施設 139 件で建屋・設備の損壊等
<林業>
林地荒廃 91 箇所
治山施設 52 箇所
林道施設等 2,246 箇所
木材加工流通施設 36 箇所
特用林産施設等 23 箇所の被害
<水産業>
漁船の転覆・沈没 52 隻以上
座礁 68 隻以上
一部損壊 176 隻以上
流出 44 隻以上(18 隻が新潟県の沿岸に漂着)
カキ等の養殖施設5件の破損等、
60 漁港で防波堤、岸壁、臨港道路の損傷等(志賀町から珠洲市の外浦海域の漁港では、地盤隆起による海底露出)の被害
漁業集落排水施設 13 か所で損傷等
水産業共同利用施設(荷さばき所等)34 か所で損傷等
漁業用施設 75 か所で損傷等
ということで
能登半島地震の発生から7か月。
現状、厳しいとかしか言いようがありません。
より良い方向で問題解決されることを祈るばかりです。
ではまた
また、よろしくお願いいたします。