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SmartFLASH「絶望です」記事を補足する

ラベンダー

こんにちは、ラベンダーです。

8月3日に、SmartFLASHより被災地避難所の実情を取材した記事が出ました。

(このあと、全文を引用いたします)

私もそうですが、北陸以外のお住まいの方は、被災地報道を目にすることはほとんどないと思います。

あまりにも報道がなさ過ぎて、何もわからない方が大多数。

なんとなく、インフラも回復し、復興も順調なんだろうと、そんなイメージかと思います。

だから、今回のSmartFLASHの記事は衝撃的。

あっという間に、ネットで大拡散。

今後、大きな話題になることは確実です。

さて、

私も被災地外に住んでいて、そもそも能登半島へ行ったことがありません・・・(汗)

だから、被災地外の一般の方がこの記事を読んでも事情がよくわからないだろうなあ・・・という感じは理解できます。

けど、私はずっとウォッチしてますので、ある程度の事情はわかります。

そこで今日は、被災地外の方向けに、この記事の補足してみたいと思います。

目次

SmartFLASHの記事

「絶望です」避難所でついに死亡者も 弁当は1日1食のみ、住民の直訴を市長が遮り…
能登半島震災から約7カ月、現地が明かす行政の怠慢

「エコノミー症候群で亡くなった高齢者もいます。どれだけ訴えても、私たちの声が届くどころか、蓋をされてしまっています」

 2024年の元旦、最大震度7を記録した大震災が発生した能登半島。死者は災害関連死と合わせ、300人を超えている。

「岸田文雄首相は5月31日、『復興基金』を通じ、石川県に520億円の財政支援をおこなうことを決めました。さらに、『能登半島地震被災地支援宝くじ』の収益分約40億円の半分が県の予算に充てられるなど、早期復興に尽力しているとアピールしています」(政治部記者)

 震災の発生から約8カ月。本誌の取材で明らかになったのは“早期復興”とは程遠い現状であったーー。

 能登半島内でも、被害が大きかった珠洲市で被災した40代男性は、肩を落としながら現状を語る。

珠洲市では、在宅の方はいまだに水道も通っていないお宅が大半です。中には電気すら通っていないお宅もあります。私の自宅も両方通せておらず、家で過ごすのが危険なほど暑い日や、炊き出しのボランティアをするときは、避難所に泊まる日もあります。

 避難所に設置されたダンボールで仕切られた空間に、ダンボールで作られた即席ベッドがありますが、枕の感覚は全くなく、畳で寝た方が柔らかいレベルです。たった数日でも辛くて涙が出そうになります」

 とっくに限界を迎えている、過酷な環境で半年以上過ごす被災者。ついには、命を落とす者もいたという。冒頭の続きを話す。

ついに、エコノミー症候群が原因で、避難所で死人が出ました。そして、最近もエコノミー症候群と診断された後期高齢女性がいまして、すぐに仮設住宅に入りたかったのですが、その方は子どもと共に生活しており、仮設住宅は4畳半の広さの部屋しか残っておらず、家族で4畳半に住むのは物理的に無理があるので、悩んだ末、母親のみが仮設住宅に入りました。

 問題なのは、仮設住宅への申請というのは、1世帯1回限りということです。仮に広い仮設住宅が空いたとしても、もうその家庭は申請する権利を失っているので入ることができない。残された家族は、“全壊判定”を受けた自宅で今も生活しています。

 行政には、申請制度の変更を検討して欲しいのですが、彼らがやっているのは、有名な建築家を連れてきて、仮設住宅建設プロジェクトを立ち上げること。完成について、簡単に『1カ月、2カ月伸ばします』と言いますが、仮設住宅を待つ側からすると絶望ですよ。じつは、家族バラバラになったその高齢女性も、一家で住める仮設住宅の入居が遅れてしまっていたんです。“復興アピール”にしか見えません」

 さらに、健康を脅かしているのが食生活だ。内閣府によると、石川県の現在の避難所数は191箇所、2000人以上が避難所での生活を余儀なくされている。(7月1日時点)

「現在、珠洲市健康増進センターというところから食料が配布されるのですが、1日1食の弁当のみです。1食である理由のひとつは、“食中毒の問題がある”ことだといいます。しかし、“食中毒”という理由にしては、マヨネーズを使用したコールスローや、生野菜が使用されており、配達は保冷車ではないところを見ると、じゅうぶんな配慮がなされているとは思えないです。

 行政からは、未炊飯の米しか届かず、この状況を知った民間の方が食材を支援してくださり、被災者同士が無休で数十名分の炊き出しをおこなっている状態です」

 さらに、配給されるお弁当は原則として、避難所限定だと言う。

「自宅で生活していても、センターに連絡をすれば貰えますが、整備されていない道を車で片道30分以上かけて、15時〜18時と決められた時間に行くのは困難です。

 復興のためには、経済を回せと言う方もいらっしゃいます。しかし、食材を買おうにも、残っているのは全壊したスーパーだけで、おにぎりひとつ買えません。仮に、食材を手に入れても、炊き出し用に駐輪所を改良してつくったガスコンロのみの調理場があるだけ。約40人が生活している避難所では、個々に調理できる環境じゃないんです」

男性は、「国が支援してくれない訳ではない。ただ、こちらの要望が届いていない」と語る。

「要望があれば国も対策をしてくれると思うんです。しかし、避難所にいるのは高齢者が多く、情報発信できるものを持っていない。ですので、市や県に直接言っているのですが、我々の声に蓋をしていると感じます。

 7月中旬、総務省の方が珠洲市の避難所の視察に来たので、精神的に限界であった80代の男性が、仮設住宅問題について直訴しようとしたところ、会議室を用意してくれたのですが、同行していた珠洲市市長が話を遮ったのです。『市長と話をしたいんじゃない!』と住民は悲しんでいました」

 そして最後に、男性はポツリとこう語った。

「震災から半年以上過ぎても、80代のおばあちゃんが、ダンボールの上でカップ麺や昨日の残りの弁当を食べているのを見るのは、同じ被災者としても心が痛みます……」

“忘れられた被災地”では、今なお多くの人が苦しんでいるーー。

( 2024年8月3日 SmartFLASH )(太字、下線等はラベンダーによる)

以上が記事の全文です。

では、被災地外の一般の方にわかりにくい部分を補足したいと思います。

被災地のインフラは回復していない

珠洲市では、在宅の方はいまだに水道も通っていないお宅が大半です。中には電気すら通っていないお宅もあります。(記事より、以下同)

石川県は5月末、土砂崩れなどの影響で早期の復旧が難しい地域を除いて断水解消したと発表しました。

これによって、被災地外の一般の方には、被災地のインフラはおおむね回復したようなイメージを持つ人が多いと思います。

ところが、それは大きな間違いで

1.上水道が使えない、下水(浄化槽)が使えない家も多くある
2.そもそも行政は、インフラが回復したと言ってない

断水解消というのは、水道管への供給ができるようになっただけであって、断水が解消した地域でも水道管から住宅につながる給水管を修繕できていないケースもあり、実際に自宅で水道が使えない場合も少なくない。

給水管を修繕したくても、業者が限られており、順番がなかなか回ってこない。

下水(浄化槽)に関しては、回復状況のデータが出てこないくらいに損壊がひどく、多くの自宅で不自由してるよう。

で、そもそも行政はインフラが回復したとは言ってない。

能登町、穴水町は回復したとされてますが、輪島市、珠洲市はインフラ回復してない(一部、内灘町も)。

まだ、被災地のインフラは回復してない

というのが実情。

それどころか、現時点では

インフラの回復目標は9月末

ということのようです。

回復は、まだまだ先ですよ。

石川県の以下の発表をご参照ください。

避難所格差

避難所に設置されたダンボールで仕切られた空間に、ダンボールで作られた即席ベッドがありますが、枕の感覚は全くなく、畳で寝た方が柔らかいレベルです。たった数日でも辛くて涙が出そうになります

本来、どこの避難所でも同じような待遇であるべきです。

しかし、現実には

避難所ごとに待遇格差があります。

理由は話せば長くなるので、簡単に言いますと

避難所格差

1.避難所へ十分な国費が投入されていない。

2.なので、避難所の待遇等は、自治体や民間の援助に左右される。

3.自治体や民間の援助には、場所による差異があるので、避難所格差が起こる。

だから、畳が敷かれてテントが張られてるような立派な避難所もあれば、簡単にダンボールで区切られた粗末な避難所もある。

そういう避難所格差が発生してる。

今回取り上げられた珠洲市の避難所は、いまいちな避難所だったようですね。

避難者とエコノミー症候群

「災害関連死」とは、地震や津波などの災害から命を守った人たちが、その後の避難生活の間に体調の悪化などが原因で亡くなってしまうケース

その「災害関連死」の原因のひとつとして、エコノミー症候群が挙げられてます。

以下の記事をご参照ください。

能登半島地震1か月 「災害関連死」から命を守る 対策のポイント

エコノミー症候群はなぜ起こる

避難生活の中で、具体的に危惧される症状が「エコノミークラス症候群」「誤えん性肺炎」「感染症」です。過去の災害でもこうした病にかかる人が出ています。

2004年に起きた新潟県中越地震。災害関連死が多く発生しました。
エコノミークラス症候群によって亡くなった人の全員が、車中泊での避難生活を送っていました。

狭い空間に長時間座り続けると、足の静脈にできた血栓が血流にのって肺の動脈をふさぎ、呼吸困難や突然死を引き起こします。
こうした肺塞栓症のことを、エコノミークラス症候群と呼んでいます。

車中泊の危険性を指摘しているのが、中越地震で患者の診察に当たった榛沢和彦さん(新潟大学医歯学総合研究科特任教授)です。
「車中泊をしていると3割の方に血栓が見つかり、これは大変だと」(榛沢さん)

東日本大震災や熊本地震でも、避難所不足やプライバシーの確保などの理由で、車中泊を選ぶ人がいました。また、エコノミークラス症候群は、狭い場所で寝泊まりを続け、じっとして動くことが少ない避難所でも注意が必要です。

また、「日本の場合は、中高年の女性がなりやすいという調査結果がある」と榛沢さんはいいます。避難生活では、子どもや高齢の親の世話をする年齢の女性に負担がかかってしまい、水や食事も取らずに脱水になってしまうケースが見受けられるそうです。

今回の能登半島地震の被災地でも、エコノミークラス症候群が報告されています。
避難所でインフルエンザにり患し、さらに発熱や食欲不振で脱水症状を起こしてしまったケースもあると、榛沢さんはいいます。

以下略

NHK防災

有名建築家の仮設住宅

有名な建築家を連れてきて、仮設住宅建設プロジェクトを立ち上げること。完成について、簡単に『1カ月、2カ月伸ばします』と言いますが、仮設住宅を待つ側からすると絶望ですよ。

まず、

他の震災に比べて、能登半島地震の場合、仮設住宅の建設完了が遅れてるのは事実です。

しかし、

建設したくても資材を運ぶ道路が壊れてるとか、作業員の宿泊場所がないとか、いろんな問題があってまともに工事できなかった期間があるので、現在のペースが目いっぱいという見方もあります。

評価が分かれるところでしょう。

次に、

完成が1カ月、2カ月延びてるという話。

プレハブ仮設住宅は、工期は短く済みますが、用が済んだら壊して廃棄。

そしてその後、必要な公営住宅を建設することになります。

が、自治体としては「仮設住宅」「公営住宅」と2度の費用負担が大変です。

国からの援助はもちろんありますが、何割かは市町の負担になり、財政上厳しい。

そこで考えだされたのが「仮設住宅」と「公営住宅」を兼用するもの、財政負担が少なくすみます。

それが「木造仮設」と呼ばれるものです。

通常の仮設住宅よりは、工期が長くかかりますが、その代わり「公営住宅」として長く使える。

1回建設すれば、「仮設住宅」と「公営住宅」を兼用できる。

これは合理的。

なので、プレハブ仮設を予定してたものを「木造仮設」へ変更したりしてます。

完成が1カ月、2カ月延びてるというのは、そういう事情もあるようです。

そして、

本題の有名建築家の話ですが、この「木造仮設」の建設に関係ある話です。

詳しくは、以下のリンク先の記事をご参照ください。

坂茂による「令和6年能登半島地震 被災地支援プロジェクト」が進行中

今年1月1日に発生した令和6年能登半島地震。これに伴い、建築家・坂茂が代表を務めるNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)+ 坂茂建築設計は被災地支援プロジェクトを続けている。

 プレハブでつくられた従来の仮設住宅と比較し、同等のコストかつ恒久に使えるものとして建設されているのがDLT(Dowel Laminated Timber)仮設住宅だ。DLTは製材を並べて穴を開け、木ダボを差し込むといったシンプルな製法でつくることができる木製素材。接着剤や釘を使用しないことから環境負荷も低く、誰もが組み立てることができるという点で採用された。

以下略

2024年7月26日 ウェブ版「美術手帖」

(太字、下線等はラベンダーによる)

記事では、

珠洲市見附公園に建設された「木造仮設」が出てきます。

綺麗な木造仮設で、住みやすそうな感じがします。

これはこれでいいと思います。

ただし、記事では入居率は7割程度らしいです。

まあ、それはいいとして、

問題は、その出来上がった見附公園の木造仮設ではなく、別にあります。

この建築家の「木造仮設」(以下、「建築家仮設」と呼ぶ)は、見附公園だけでなく大谷地区などにも作られるはずでした。

ところが珠洲市は、「費用の問題」を理由に建築家仮設を中止し、別の木造仮設の建設に変更してしまったのです。

大谷地区の仮設建設の遅れは、それだけの事情ではないと思いますが、待たされる側としては気分よくない話ですよね。

その「変更」ですが、どうも違和感があります。

だって、変でしょう?

上記記事に書いてありますよね。

プレハブでつくられた従来の仮設住宅と比較し、同等のコストかつ恒久に使えるものとして建設されている

建築家仮設は、プレハブ仮設と同等のコストで作れると書いてありますよ。

別の媒体が出した別記事にも、そう書いてあります。(2024年5月31日産経新聞など)

なのに、費用の問題でその計画が中止になり、別の木造仮設に変更になった。

って、おかしいでしょう。

この建築家の方が、何か不正をしてるとか、そういうことは思ってませんよ。

しかし、

プレハブ仮設と同等のコストで作れると言っておきながら、費用の問題で中止になるというのは、矛盾してませんか?

この宣伝記事は7月に出されたものですから最近ですよ。

プレハブ仮設と同等のコスト」って、虚偽の宣伝と解釈できますよ。

いつまでも、この宣伝を続けるなら、

建築家の方には、その矛盾を説明する道義的な責任があると思います。

公金が投じられてますしね。

結論として、どういうことなのかはハッキリしませんが、言ってることとやってることが合わないので、建築家仮設については違和感を禁じ得ないですね。

食事支給1日弁当1個の謎

「現在、珠洲市健康増進センターというところから食料が配布されるのですが、1日1食の弁当のみです。1食である理由のひとつは、“食中毒の問題がある”ことだといいます。しかし、“食中毒”という理由にしては、マヨネーズを使用したコールスローや、生野菜が使用されており、配達は保冷車ではないところを見ると、じゅうぶんな配慮がなされているとは思えないです。

避難所に関する法律は「災害救助法」。

その一般基準によれば、避難者への食事支給は、1人1日1230円でするものとされてます(令和5年度)。

1人1日1230円は、今の時代安いと思いますが、それでも1日弁当1個は謎。

1230円あれば、もっと配給できそうですよね。

1日弁当1個だけ。

フラッシュの記事によれば、こんな弁当。

この弁当1個。

皆さん、いかがでしょうか?

1日1230円予算があるはず

納得できますか?

この程度の金額ですので、何か不正してるとは思ってませんが、一度、公に説明する必要があると思いますよ。

 行政からは、未炊飯の米しか届かず、この状況を知った民間の方が食材を支援してくださり、被災者同士が無休で数十名分の炊き出しをおこなっている状態です」

弁当1日1個。

それしか配給がないので、不足を補うために被災者が食材を使って自炊してるよう。

しかも、

ほとんどの食材の提供は民間

行政は、徹底的に食事にお金を使いたくないようですが、

1人1日1230円

あるはず。

謎ですよ。

ということで

1日弁当1個など、避難所にはいろんな問題がありました。

事情を知る個人がネットで批判をしてきたわけですが、メディアに報道されないことをいいことに、行政は黙殺。

知らんぷりしてきたわけです。

ところが今回、全国メディアがこれを報道した。

これを受けて、行政がどう対応するかは見ものです。

さらに、黙殺を続ける可能性もあるので、注意深く見ていきたいと思います。

いうまでもありませんが、

これを機に、避難所の待遇改善が進むことを願ってます。

ではまた

ラベンダー

また、よろしくお願いいたします。

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ふくろう
ふくろう
3 months ago

今晩は

戦後ではないかというくらいの食事事情ですね。これは1230円の弁当ではないですね。お金はどこに流れているのでしょうか。天皇陛下が3回目の訪問を予定しているという話を以前聞いたような気もするのですが、訪問することで道路の整備等が進むとよいのですが。
でも、ただ、ただ絶望です。亡くなられた方は人災ですね。胸が詰まります。
何度も言いますが万博を中止して、お金と人を能登にまわせないものなのでしょうか。

そしてやはりお金の使い方ですよね。寄付金とか被災者の方々のためにちゃんと回っているのでしょうか。私たちができることは少額とはいえ寄付することしかできません。
本当にモヤモヤ、イライラします。

しおしお
しおしお
3 months ago

想像できるところとしては
恒久的に使える住宅 ということは解体費用が発生しない住宅ですから、効率的 で素晴らしいものに見えますが、ひっくりかえせば 解体費用が発生しない 建設後は金にならない仮設住宅なわけです。解体業者が仕事がなくなって困りますよね。
従来型なら「今」建築する仕事が受注できて、同時に数年後の解体工事も受注できるわけで。地元のためには従来型のほうが良いのかもしれません。費用を抑えるということは 地元に金を落とさない ということですから

まあ、これ以外にも、実は輸送費がにバカならない、特殊工具が必要、道路の再補修が必要になったetc……の理由があるのかもしれません。

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