
こんにちは、ラベンダーです。
いよいよGWも本番。
皆さんは、いかがお過ごしでしょうか?
アンケート、いろいろありがとうございます。
次回より、できるだけアンケートの内容にお答えしてきたいと思っております。
まだ、アンケートは募集中ですので、よろしくお願いいたします。
さて今日は、憲法記念日。
せっかくですから、今日は日本国憲法についての雑談します。
そもそも天皇や皇室に関することを学校で教えることはありません。
興味持って調べようとする人もほぼいませんから、天皇皇室に関する日本国憲法の規定について、何もしらないのが普通だと思います。
たまに、意見発信する変な人がいても、異常に思想の偏った人たちばかりなので、簡単に話を捻じ曲げて異常に偏った思想の話にされてしまいます。
だから今日は、事実関係を中心にした普通の憲法話をしたいと思います。
なお、記事の最後にお知らせがあります。
<アンケート募集中!> 以下の記事のコメントらんへコメントお願いいたします。
戦前の天皇皇室から戦後へ
まずは総論的な話。
戦前の大日本帝国憲法下の天皇皇室はどのように規律されていたのか。
そこから始めましょうか。
超おおざっぱには、以下の3点が特徴です。
1.天皇主権(天皇は国家元首であった)
2.天皇の統治権(天皇には政治的権力があった)
3.皇室の自律権(皇室は議会や政府から独立し、神聖不可侵な存在であった)
という感じで、戦前は天皇皇室に権力があった国でした。
そして戦後、
第二次世界大戦に敗れ、ポツダム宣言受諾した日本国でしたが、ただちに民主主義国を目指したわけではありません。
連合国側の国体変更圧力(憲法改正圧力)に対して、
国の大枠としては、戦前の体制維持を目指した。
いわゆる松本4原則というもので、統治権の総攬者としての天皇の地位を温存しようとしたわけです。
ア 天皇が統治権を総攬せられるという大原則には変更を加えない。
イ 議会の議決を要する事項を拡充し、天皇の大権事項を削減する。
ウ 国務大臣の責任を国務の全般にわたるものたらしめるとともに、国務大臣は議会に対して責任を負うものとする。
エ 国民の権利・自由の保障を強化するとともに、その侵害に対する救済方法を完全なものとする。
戦前よりは、民主化が進んだ国に変わるけど、根本的な部分は変えない。
「天皇主権」「天皇の統治権」「皇室の自律権」
といった部分は継続すると当時の日本政府は主張したわけです。
そして、この四原則に基づいて松本案が起草され、「憲法改正要綱」として連合国側へ提出したのですが、連合国軍総司令部に一蹴されます。
まだまだ非民主的だと。
そもそも連合国側には、昭和天皇の戦争責任を追及する声も多かったわけですから、天皇の地位をそのまま温存して新体制とするのには無理があるでしょう。
天皇処刑を主張する勢力もあったよう。
なので、天皇主権の維持なんて、連合国側が承認できるわけありません。
そんな状況ですので、
結局、「憲法改正要綱」は一蹴され、総司令部案である民主的な現在の日本国憲法が成立しました。
で、
ここで重要なのは、
日本側は、天皇主権や皇室の自律権をやめる気はなかった
という点です。
押し付け憲法論と呼ばれたりもします。
皇室問題を読み解くのに、これは重要な知識。
つまり、現在の日本国憲法は、
日本側が決めたものではなく、連合国軍総司令部に押し付けられたものである。
と主張し、
男系原理主義者は、日本国憲法や国民主権を否定するわけですよ。
日本人が国民主権を求めたわけじゃない、アメリカに国民主権を強要された。
日本人が皇室の神聖不可侵をやめたわけじゃない、アメリカに無理やり変えられた。
と思ってるので、極右からすれば、今も日本は神国日本のままなんですよ。
神権天皇制が今も続いている。
民主主義や国民主権なんてアメリカに押し付けられたもの。
日本は、もともと民主主義国じゃない。
日本国憲法とか国民主権とか、現在の法秩序はアメリカに押し付けられたもので、間違ってるという人たちです。
それも思想信条の自由ではありますが、自由と民主主義の価値観を有する国民主権が定着した現在日本において、それを全否定してる人たちがいるのは驚きですよね。
でも、押し付け憲法論をベースに、そういう戦前回帰の価値観を持つ勢力が男系派の中心勢力になっている。
善悪は別にして、
そもそも日本国憲法や民主主義を認めてない極右男系派に、「自由」だの「平等」だの関係ありません。
日本は永久に天皇主権の国であって、皇室は神聖不可侵。
それが極右男系派というものであって、
皇室について、人権とか男女平等とか、極右男系派からすれば寝言のようなもの。
何の意味もありません。
そういう人たちに、男女平等なんだから愛子天皇、とか言っても一蹴されるのは当然。
そういう非民主的な思考回路を理解しないと、男系派の思考回路は理解できないし、
皇室の諸問題とくに皇位継承問題を理解することはできませんので、ご注意くださいませ。
国民主権
では、各論を少し。
皇室問題初心者の方向けに、軽くやります。
本格的な話は、時間に余裕のあるときにでもやります。
いつになるかは、わかりませんが(汗・・・
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
この条文は、「主権の存する日本国民」とあるように、国民主権を明定したものです。
しかし、これも日本政府が決めたわけじゃありません。
日本側が連合国軍総司令部へ示した案(憲法改正要綱)では、天皇主権から国民主権へ変更されないように、主権の所在はあいまいにされてました。
とりあえず、あいまいにしておいて、独立を回復してから「解釈で」天皇主権をうたうつもりだったのかもしれません。
しかし、総司令部は、その案を拒否。
改めて、極東委員会やGHQから日本政府へ「主権の所在の明確化」が求められ、結局、現在の「主権の存する日本国民の総意に基く」という表現になった経緯があります。
だから、極右勢力からすれば、
国民主権なんてアメリカが勝手に押し付けたもの
という理屈になり、少なくとも皇室に関しては、大日本帝国憲法が、脳内有効なんだと思います。
口語風に意訳すると
第1条 大日本帝国は、万世一系の天皇が統治する。
第2条 皇位は、皇室典範の定めるところにより、皇男子孫が継承する。
第3条 天皇は、神聖であって、侵してはならない。
第4条 天皇は、国の元首であって、統治権を総攬し、この憲法の条規により、これを行う。
以下、略
こういう価値観が今も生きてるわけですよ。
男系原理主義主義者はね。
そういうもの。
国会の議決した皇室典範
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
現在の日本国憲法では、「国会の議決した皇室典範」とされてます。
「国会の議決した」とわざわざ書いてあるのは意味があって、戦前はそうじゃなかった。
戦前の皇室典範は、憲法や法律から独立した存在であって、政府や議会が変更できない。
皇室のことは皇室が決める、いわゆる「皇室の家法」だったわけです。
政府も議会も立ち入ることができないアンタッチャブルな存在が戦前の皇室典範でした。
皇室の自律権と呼ばれるものです。
で、新憲法の制定過程で、皇室の自律権についても日本側は残そうとしました。
が、それも連合国軍総司令部から一蹴され、「皇室の家法」ではなく議会によるコントロールを受ける皇室典範へ変わったわけです。
そういう経緯がありますので、男系派からすれば、議会のコントロールを受ける皇室というのもアメリカに押し付けられたもの。
皇室典範は「皇室の家法」
臣民ごときが皇室典範を変更できるものではない
そのくらいのこと思っていても不思議はありません。
現在、皇室典範はいうまでもなく、いち法律にすぎません。
議会で自由に変えていいものです。
しかし、もともと天皇皇室は神聖不可侵だと思ってる極右勢力からすれば、皇室典範の変更というのは、心穏やかな話ではありません。
男系男子とかそういう各論じゃない。
皇室は神聖不可侵であり、
臣民ごときが皇室典範を変更できるものではない
だから、現上皇陛下が退位される際、皇室典範の変更ではなく、あえて特例法という法形式を用いたのは、そういう極右イデオロギーへの配慮があったものと思われます。
極右イデオロギーは、皇室問題のあちこちに影響してます。
旧統一教会のような極右団体が、国政へ大きな影響を及ぼしたりもしてます。
自由と民主主義の価値観を有する国民主権の国なのに、
どうして戦前回帰の男系原理主義勢力が強いのか?
結局それは、元をたどれば
日本国憲法の制定過程と関係がある。
わけですよ。
これは、知っておいてほしいですね。


ということで
今日は憲法記念日でした。
あまり意識してないと思いますが、
皇室の諸問題と日本国憲法とは、密接な関係があります。
特に、皇位継承問題をやる人は、日本国憲法およびその制定過程の勉強は必須。
いわゆる「押しつけ憲法論」
極右の人たちは、GHQ の関与のもとで制定された日本国憲法は「押しつけられた」非自主的な憲法であるとして問題視してるわけですよ。
ある国の憲法制定に他国が強圧的に介入するのは、内政不干渉の原則、憲法の自主性、自律性の原則違反の問題が生じると。
日本国は「天皇主権」であり「皇室の自律性」の国なのに、それを勝手にGHQが内政干渉して改悪したという主張。
そういう極右側の主張はあり得なくはないです。
ただ、現在の憲法案をのまなければ、ファシズム思想を捨てない国として日本の独立回復は大きく遅れ、他国の支配下に置かれる状態が長く続いたでしょう。
当時の連合国側の認識は、日本は天皇を中心としたファシズムの国、というもの。
天皇主権なんて話が通る可能性はありません。
結局、現在の日本国憲法を採用するしか道はなかったし、それによって日本国は自由と民主主義の価値観を有する国民主権の国になったのですから、日本国憲法採用は正解だったと私は思います。
まあ、それはそれとして、
単純に、「男女平等」だから愛子天皇、みたい主張では幼稚すぎてどうにもなりません。
そんな簡単な話じゃない。
いろんな背景事情があるんですよ。
なので、皇位継承問題やるなら、もうちょっと基本的なことを勉強しないと。
そう思いますね。
しかし
勉強して、皇位継承問題に首を突っ込んで幸せになるとも思えない。
この世界、アタマおかしい人だらけなのも事実ですので、
テキトーに私のブログを読んで勉強するくらいの話で、遠目に皇室ウォッチするのがよいと思いますよ。
まあ、やるなら楽しくやりましょう。
さて、
今日は、小難しい話ばかりで恐縮でしたが、
まあ、これはこれということで、
今後ともよろしくお願いいたします。



ではまた
サロンの新規募集をしてます。
すでにメンバーの方は、何もしなくていいです。
新しくサロンメンバーを希望される方は、当ブログのトップページをチェックしてください。
募集は5月13日までです。
よろしくお願いいたします。
こんにちは ラベンダー様
ブログ更新ありがとうございます。
GWですが、どこも混んでいるので、私は近所の公園ウォーキングをして運動不足を解消しています。
憲法のこと、恥ずかしながら何となく知っている程度でしたので、丁寧に解説していただきとても勉強になりました。
「押し付けられた憲法」として反発する気持ちはわかりますが、現代の世界や日本の状勢から天皇主権を信条とする思考は理解できません。戦前回帰派が存命中は皇位継承問題はゆるがせにならない、ということでしょうか。
あらためて色々と考えさせられる、まさに
憲法記念日にふさわしいブログでした。
またよろしくお願いいたします。
ラベンダーさん、
憲法記念日らしい皇室雑談をありがとうございます。
日本国憲法は、民主主義の理想を反映している良い点があると思います。
アメリカ人友人が、合衆国憲法では男女平等明記なく、女性参政権が修正19条で保障されているだけ〜と嘆いていました。
でも、天皇の条文はわかりにくいです。その事情が少し理解できました。
国民の象徴とは?マコムロさん結婚の頃、専門家たちが、天皇は天皇一人を指し、他の皇室の方々は象徴に含まれないなど、それぞれ第一条の解釈を説明していましたが、曖昧なものに感じました。
明治時代も天皇主権ではありません。
主権とは立法権、司法権、行政権を持つ事ですが、天皇は法律1つ決められず、帝国議会で決めた法律を承認するだけで、反対する事も出来ませんでした。